自己破産の手続きは、自分で進めることも可能です。自分のことは自分で決着をつけたいと強く思っているのなら、やってみるのもいいでしょう。ただし、借金をしている各方面との連絡や交渉なども自分でやらなくてはいけません。弁護士などの法律家だとすんなり対応してくれても、対個人となるとぞんざいな扱いを受けることも多くあります。また、想像以上に手続きが多く、複雑なこともあるので、弁護士などの法律家に依頼するほうがいろいろとメリットが多いでしょう。時間や手間の節約という面からも、今後の再建をスムーズにする意味からも弁護士などのプロの手を借りることです。
自分でも自己破産はできる
自己破産手続きは、自分でもできることをご存知でしょうか。手続きをするには必ず弁護士などを通さなければならないと考えていた人には、朗報かもしれませんね。しかし、自分でも自己破産手続きができるとはいえ、正しい専門知識が必要なことは言うまでもありません。必要書類に不備があれば、手続きが止まってしまいます。手続きが止まれば、自己破産が受理されるまでの期間が延びてしまうことでしょう。
それに、借金の減額をするためには、債務者(借金をしている金融会社など)に自分で交渉するという意味にもなります。個人でひとつずつ対応するのは面倒ですし、精神的にもかなりの負担となります。また、金融会社の中には、個人からの債務整理の申し出に逆上してくるケースもあるでしょう。弁護士などの法律家だからこそ、穏便に対応しているという面があることを知っておくべきです。
自分でも自己破産手続きはできますが、強い精神力が必要だと考えてください。また、自己破産ではすべての財産を正確に把握する必要があります。そもそも、自己破産をするくらいなのですから、自分の管理能力には疑問が残るはずです。最初は自分で進めようと頑張っていても、途中で挫折してしまう人が多いのも当然でしょう。
自分で自己破産手続きをする方法
自分で自己破産手続きをするためには、以下のことを進めていく必要があります。
・破産申立書の入手と作成
・自己破産申立の申請
・債権者への通達と交渉
文字で見ると簡単に済みそうに思えてしまいますが、実際には多くの書類と手続きが必要です。たとえば、破産申立の申請だけでも、以下のような書類が必要です。
・破産申立書
・住民票
・戸籍謄本
・2~3か月分の給与明細
・源泉徴収票もしくは課税所得証明書
・1~2年分の預金通帳
・賃貸物件に住んでいる場合は賃貸契約書の写し
・不動産を所有している場合は不動産の登記事項証明書
・退職金を証明する書面
・車を所持している場合は車検証
・保険に加入している場合は保険証券
・積み立て方式の保険を契約している場合は解約返戻金の有無と金額が分かる書類
上記のほかにも、場合によっては用意するべき書類がある場合があるのでよく確認してください。いかがでしょう、思ったよりも用意するべき書類があることにお気づきでしょうか。役所で取得するものもあれば、会社に用意してもらうものもありますよね。すべての書類を用意するだけでも大変なことがよくわかるはずです。なお、書類に不備があると申請を受け付けてもらえませんから、早めに必要書類を用意し、きちんとチェックしてから申請しましょう。
また、自己破産を成立させるためには、債権者への通達と交渉が大切です。債権者からすれば、借金を踏み倒しますよと言われていい顔ができるはずがありません。信用をしてお金を貸したのに踏み倒されるわけですから、暴言を吐かれることもあるでしょう。しかし、自分で交渉をするのなら強い意志を持って交渉してください。自己破産をする場合、複数の債権者がいるのが常であり、それぞれにきちんと対応する必要があります。
また、マイペースでゆっくりと手続きをしている暇はありません。自己破産を自分で手続きすると決めたら、スピードも必要です。債権者たちからは、自分だけでも返済してもらおうと、取り立ての連絡がひっきりなしにやってくることも十分考えられます。悠長に構えていると、債権者からの対応に追われてますます手続きが遅れてしまう可能性があります。裁判所から無事自己破産の決定を受けるまでは、できるだけ早め早めで動くことが大切です。
自分で手続きした時のメリットとデメリット
自己破産に関する手続きを自分で行った場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。
<メリット>
・弁護士などに依頼するより費用が安く済む
<デメリット>
・さまざまな手続きに膨大な手間と時間がかかる
・精神的に大きな負担がかかる
・債権者からの取り立てが止まるまで時間がかかる
・不備などが発見されて免責されない可能性が高くなる
自己破産の手続きを自分で行う場合、費用が安く済むというメリット以外は、ほとんどがデメリットとなります。さらに、自分で手続きするためには、正しい知識も必要ですから自己破産について深く学ぶ必要もあります。たとえば、自らが弁護士事務所に勤務した経験がある・自己破産について手続きしたことがあるというのなら話は別です。しかし、多くの場合は法律の知識とは無縁な生活を送っていたはずです。
また、裁判所に出向くためには平日の昼間に時間を取る必要がありますから、会社を休んだり抜けたりしなくてはなりません。手続きのためにフットワークが重くなってしまうことからも、自分で行うことの効率の悪さが理解していただけることでしょう。それでもなお、金銭面でのメリットを取るのなら、準便を万全にして手続きを進めていきましょう。
自己破産は専門家に依頼した方がよい
さまざまなデメリットを考えると、自己破産は専門家に依頼したほうがおすすめです。自分でやってみたいという気持ちも分かりますが、借金をなくすために自己破産をするのだという目的を見失ってはいけません。弁護士に依頼すると、費用が数十万円ほどかかることがあります。しかし、プロに依頼することによって、多くのメリットを手にいられるのです。
たくさんの複雑な手続きの代行や、債権者との交渉、財産の把握など、自己破産手続きはとても大変なことなのです。それだけ、借金をなくしてもらうためには多くの手続きをし、債権者に納得してもらう必要があるのです。まったくの素人が手探りで行っていては、とても対応できません。
自己破産手続きを自分で進めていて途中で挫折した人からは、最初から弁護士などに依頼しておけばよかったという声を聞くことができます。まずは、自分でどうしてもやるべきことなのかよく考えてみてください。今は、何よりも返済不能になってしまった状況を打開することに集中しましょう。破産に陥った原因が仕事ならば、立て直すことを重視しましょう。浪費グセなど、生活習慣に問題があるときこそ、心の余裕が必要です。面倒な手続きは専門知識を持ったプロに依頼することをおすすめします。
まとめ
自己破産の手続きは、自分で行うことも可能ですが、さまざまなデメリットを考えると弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。手間や時間を大幅に節約できるなどの物理的なメリットだけでなく、債権者との交渉を代理で行ってくれ、精神面での負担が軽くなる点を忘れてはいけません。法律のプロが間に入ってくれるからこそ、穏便かつスムーズに進むことも多いのです。自己破産をするぐらいなのですから、お金をできるだけ節約したいという気持ちも分かります。しかし、自分で手続きを進めるときのデメリットですぐに打ち消されてしまいます。時間は有限ですし、自分の心身の消耗を考えれば、弁護士などの専門家に依頼したほうがいいでしょう。