自己破産をした後の生活への影響は…?

自己破産をすれば、苦しい借金の返済から解放されます。ただ、その一方で財産没収、一部の職業に就けない、借金やクレジットカードが作れない等デメリットもあります。
そのため、まったく生活に影響がないのか、というとそうはいかないケースもあります。素人ではわからない自己破産後の影響もあるかもしれませんので、自己破産する前にその点も知っておく必要があります。
ここでは、自己破産後の生活への影響について説明しています。

自己破産しても普通に生活できる

自己破産をしたらこれまでの生活とは一変し、人生が終わり、なんて話をよく耳にします。そういった噂が一人歩きし、結局それが怖くて借金で苦しみながらも自己破産に踏み出せない、そんな人も少なくないようです。
ですが、結論から言えば、“自己破産しても普通の生活ができる”のです。もちろん、ある程度の制約はありますが、ごく普通の生活は問題なく送れるのです。仕事も変わらず続ける事も出来ますし(免責が下りるまで一部就けない職業もある)、給料もそのまま受け取れます。周囲の人に自己破産した事がばれることだってまずありませんから、傍から見ても自己破産したとは気付かれません。
いくつかの制約はありますが、それも借金で苦しんでいる時と比べれば気にならないかもしれません。ただ、それも人によって異なるので、まずは自己破産後どのようなデメリットがあるのか明確に知っておく必要はあります。

20万円以上の財産は失う

自己破産したことでの生活への影響として大きいのは、やはり財産を失う、ということでしょう。自己破産手続きをすれば、持っている財産は没収され、債権者で配分して借金の一部とします。その代わりに、借金が全て帳消しになるというわけです。
ただ、だからといって身ぐるみまで剥がされて放りだされる、ということではありません。自己破産では処分されない“自由財産”は残す事が出来ます。没収される財産の事を“破産財団”と呼びますが、これは原則として20万円以上の財産ということになり、その財産は失ってしまいます。例えば、価値が100万円の車を持っていれば、それは破産財団となり、没収の対象になります。逆に価値が10万円程度の車なら処分されません(地域による)。
つまり自己破産は新しい人生をスタートさせるための救済措置ですから、その生活をスタートさせるための最低限の財産は残す事が出来る、ということです。ですので、日常生活を送る上での必需品、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコン、掃除機、ベッド、食器なども没収されません。また、仕事で使うものや、1ヶ月生活するために必要な食料なども自由財産になります。
ただ、基本的に持ち家は住宅ローンの有無にかかわらず没収されます。そのため、持ち家がある方はアパート等の賃貸に引越しする必要があるでしょう。
持ち家がある人以外は、財産を没収されても普通の生活を続けられる財産は残るので、自己破産後もそれほど不便さを感じる事はないでしょう。

新規の借り入れやクレジットカード作成ができない

自己破産することでの制約としては、その後は借入やクレジットカードを作ることができなくなるという点があります。
これは、自己破産をすると個人信用情報機関に事故情報として登録されてしまうからです。よく“ブラックリストに載る”と言われますが、厳密に言えばブラックリストではなく、この信用情報機関に事故情報が記載されてしまう事を指します。金融機関で融資をする場合には、信用情報機関の情報をチェックしますので、事故情報が載っているのがわかれば、融資不可ということになるのです。クレジットカードも同様です。
信用情報機関に記載されている期間は5~10年ですから、それ以降であれば新規借入もクレジットカードを作成することも可能になります。ただし、借金帳消しの対象となった金融機関であれば、その情報は金融機関に残っているので審査が通らない場合もあります。

自己破産後に残る債務がある

自己破産は“すべての借金が帳消しになる”とはいうものの、厳密に言えば自己破産後にも残る債務があります。自己破産で帳消しになる借金は、金融機関からの借入についてです。人によってはそれ以外にも債務がある場合もあるでしょう。帳消しにならない債務の事を『非免責債務』といいますが、これは国税・地方税、年金、健康保険料などがこれに当たります。いわゆる“税金”がこれにあたります。借金で首が回らないという方はそういった税金も滞納している方も少なくありません。これらの債務は自己破産をしても帳消しにはならないので支払い義務があります。
また、子供の保育料、離婚した子供の養育費、損害賠償債務についても非免責債務になり、支払わなければいけません。ただ、損害賠償債務に関してはケースによっては免責になる事もありますので、弁護士などに確認した方が良いでしょう。
ちなみに、電気やガス、上水道などの公共料金の滞納分に関しては免責の対象になり帳消しになります。ただ、何ヶ月も支払わないと供給ストップされるので、注意しましょう。ちなみに下水道に関しては非免責債務になりますので支払わなければいけません。
また、複数の金融機関からの借金があると自己破産手続きの際に債権者一覧に載せ忘れてしまうケースもゼロではありません。本来は金融機関からの債務はすべて帳消しになるわけですが、手続きが忘れれば当然その債務だけ残ってしまうことがあるので注意しましょう。

自己破産後は一部に職業制限

自己破産後、一部の職業に限り職に就けない、という制限が設けられています。
例えば弁護士や司法書士、税理士などの“士業”と呼ばれる職業の方です。破産手続きを開始すると登録が削除されてしまいますし、登録もできません。宅地建物取引士に関しては30日以内に自己申告する必要があります。
その他に警備員、生命保険外交員、旅行業者、質屋、貸金業者の登録者など意外と多くの職業に制限がでてしまいます。また、公務員は問題ないのですが、公安委員会や教育委員会などの委員にもなれず、なっている方は退職されられてしまいます。その他には団体企業の役員にもなれません。
ただ、これらの職業制限は免責が決定すれば解除されます。

自己破産すると今後の給料やボーナスはどうなる?

自己破産をすると、一部の財産を除きすべて没収となります。では自己破産手続き決定後に得た給料やボーナスについてはどうなるのでしょうか。管財事件の場合、破産手続きが開始してから免責許可が下りるまでには半年程度の期間を要することがあります。もちろん、生活するためには仕事は続けなければいけませんから、それに対しての給料やボーナスは発生します。
ただ、自己破産手続きが開始されれば、その後の収入に関しては没収される事はありません。ですが、申請手続きをした直後(自己破産手続き開始決定前)に得た財産に関しては、没収されてしまいます。

闇金から連絡来るから注意が必要

弁護士や司法書士などの専門家に自己破産の手続きを依頼したら、当該金融機関に受任通知を送るので、届けば金融機関への返済はストップします。これは法律で決められていることですから、その時点から金融機関から返済の連絡が来る事はなくなります。
ですが、それが闇金だった場合は話が別です。闇金はそもそも違法とわかってやっていますので、受任通知が来たところで連絡をしてくることもあります。それどころか借金をチャラにしようとしているわけですから、より激しく脅迫してくる可能性もあります。それが仮に専門家を介さないで自己破産しようとしていればなおさらです。
法外な利息を取り立てる闇金は、もともと返済する必要はありません。もし闇金のみの借入であれば専門家に相談すれば自己破産せずに解決できます。ただ、闇金は他の金融機関から借入できない状況でも貸してくれます。だからといって、自己破産する前にお金を借りる人もいるようです。その場合、返済する気がないのに故意に借りたとして免責が下りない可能性もあります。

家族や子供に何か影響するのか?

自己破産は本人の借金が帳消しになる代わりに、一部を除き財産も没収されます。信用情報機関に事故情報が載ってしまうのも本人だけです。基本的には本人以外には影響は及ばないものです。
ただし、状況によってはやはり影響を受ける事はあります。一番大きいのは家族が借金の連帯保証人になっている場合です。この場合、本人が自己破産しても、その借金は保証人が請け負うことになります。結局、家族としての借金は残ったままになってしまうでしょう。また、持ち家がある方は、持ち家は没収されるので引越しを余儀なくされます。子供も転校せざるを得なくなるので、友達と離れるなど影響がゼロとは言い切れないでしょう。また、子供の将来のために学資保険をかけている場合は自己破産でそれも解約・没収されてしまうでしょう。
とはいえ、自己破産を考える場合には、保険も含めた財産を処分してもなお借金が残るケースですから、結局自己破産しなくてもそうなってしまうものです。
もし、特に家族や子供に影響が及ぶことがないケースでは、家族にも内緒で自己破産出来ます。自己破産すべきか、また家族にも内緒で自己破産するためには、弁護士や司法書士に相談してみましょう。

まとめ

自己破産することで借金が帳消しになりますが、やはり不安なのは自己破産後の生活ではないでしょうか。一部の財産を除きすべて没収されてしまうので、まったく同じ生活を送ることはできないかもしれませんが、実際は一般的な生活は送れるくらいの財産は残ります。ゼロからやり直しとはいうものの、本当のゼロではなく、自己破産することですでに一歩進んでいます。
ただし、状況によっては残ってしまう債務、家族への影響もゼロではないので、その点も含め正しい知識もった専門家に相談してみましょう。

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