自己破産すると自宅はどうなる?自己破産の場合の不動産の処理

自己破産すると高額な財産は没収されるので、一般的には自宅は手放す事になります。ただ、共有名義のケース、オーバーローンなどいろいろなケースが考えられ、それによって対応が変わってきます。
また、自宅を手放すにしても売却方法によっては自己破産せずに済むかもしれませんし、借金の状況によっては自己破産以外の債務整理により自宅を残せる可能性もあります。まずはケースによる自己破産の不動産の処理方法、売却方法、そして自己破産せずに済む方法をチェックしてみましょう。

自己破産しても自宅は残せるのか?

自己破産をすると、借金が帳消しになる代わりに99万円までの現金、20万円までの物、差押禁止財産などの自由財産を除くすべての財産は没収されます。そして没収された財産は競売にかけられ、債権者に配分される仕組みです。
高額な財産となる自宅(持ち家)はほぼ没収の対象になってしまうので、自己破産すると自宅には住めなくなります。ただ、これは一般的なケースであり、特殊なケースでは若干変わってくることがあります。

不動産に値段がつかない場合

本来、家や土地などの不動産は競売にかければ買い手が見つかります。競売とはオークションやせりと同じで、欲しい人がどんどん値を上げていき、最終的に高い金額をつけた人が買い取れるという仕組みです。買い手が見つかれば、その売れた金額に応じて債権者に配分されます。
ただ、不動産によっては、なかなか買い手がつかない、というケースもあります。競売にかけても誰も入札せずに期間が終了してしまうのです。あくまでその不動産を買う人がいればこそ、債権者への返済に回すことができるのであり、売れなければ意味がありません。
その場合値段を下げて再び競売にかけるのですが、それでも売れない、さらに値を下げても売れない、ということもあります。
値を下げても売れないと、競売から任意売却になって新たな買い手を探すことになります。実はその間はそこに住み続けることができるのです。ただ、最終的には手放すことになるでしょう。また値段を決めるのは破産者ではないので、破産者が「この金額では売らない」なんてことは当然言えません。
ただ、売れるまで住み続けることができる、とはいっても、その間、固定資産税は支払う義務が発生してきます。任意売却で売れれば売却価格から固定資産税が弁済されるのでいいですが、競売の場合は支払う義務があります。滞納している方は一度に高額の費用を支払うことになります。

不動産が共有名義の場合

不動産が破産者本人名義なら当然没収され競売・任意売却されます。ですが、不動産が共名義というケースもあるかと思います。例えば、父親の不動産を相続して兄弟で共有名義になって、その後どちらか一方が自己破産してしまった、というケースです。
この場合、没収されるのは破産した方の持ち分である2分の1だけです。残りの2分の1は没収されることはありません。とはいえ、土地だけならまだしも、建物となると半分に分けるというのは現実的に難しいでしょう。当然、競売にかけたところで買い手がつかないでしょうし、逆に買い手がついても困ってしまうのではないでしょうか。実際に、転売目的で格安になった半分の不動産を購入する業者がいないわけではありません。そういう業者に買われると、競売よりも高い額で買わされる可能性もありますい、さらに裁判にまで持ち込まれ、結局不動産を手放すか高額で買い取りしかなくなってしまいます。
ですので、選択肢としては、破産者の持ち分を一方の名義の方が破産管財人から買い取る、もしくは破産管財人の許可を得て、不動産を任意売却するというのがベストでしょう。
自己破産する前に一方の名義人に安く売る、譲渡する、という手もありますが、時期によっては財産隠しとみなされ、自己破産の免責が下りない可能性もあります。

オーバーローンの場合

破産者が不動産を所有している場合、管財事件となるのが一般的です。ただ、オーバーローンの場合は同時廃止事件となることもあります。一般的な不動産は住宅ローンが残っていてもその残債よりも不動産の価値が高くなる事が多いです。ですが、不動産の価値よりも住宅ローンの残債の方が多くなってしまうケースもあります。この場合をオーバーローンと言います。この場合、不動産を売ったとしても抵当権を持つ金融機関が優先して売却金額を全額受け取ることになります。となると、他の債権者に配分するお金はなくなります。この場合には他の債権者からすれば財産がないのと同じですから、同時廃止事件として扱われます。
明らかなオーバーローンであるかどうかの基準には、“ローンの残債は不動産の固定資産評価額の1.5倍”が基準となります。1.5倍を超える場合には同時廃止事件となり、1.5倍以内の場合には固定資産評価証明書だけでは判断できないので、複数の業者が査定書、不動産鑑定書などにより、オーバーローンになるかどうかを判断します。
とはいえ、破産者からすればどちらにしても不動産は残す事は出来ません。あくまでどのように処理されるかが異なるだけです。

不動産の競売と任意売却について

住宅ローンの返済が困難になると、自己破産しかないと思ってしまう人もいます。自己破産すれば、住宅ローンの有無にかかわらず不動産は没収されます。その不動産は競売にかけられて債権者に配分されることになります。
ただ、住宅ローンが支払えないという理由で自己破産を検討するのは時期尚早です。確かに住宅ローンが支払えない状況ですと、結果的に債権者(金融機関)に強制的に競売にかけられてしまうことがあります。競売とは、せりやオークションのような流れで売り出し、最も高い値をつけた方に不動産を売るという仕組みになります。競売にかけられてしまうと、相場の60~70%の価値しかつかなくなるケースが多いです。
ただし、競売にかけられる前に任意売却という選択肢もあります。任意売却とは不動産会社を介してもしくは個人で、不動産の購入者を募るというやり方になります。この場合は、たいてい市場相場で売ることが出来ます。
ただ、競売にかけられると退去するまでの期間は比較的長いですが、任意売却となるとすぐに売れてしまい、直ちに退去せざるを得ない事もあります。

家を確実に残したいなら他の債務整理

自己破産をして家が没収されるということが一番ショックが大きいのではないでしょうか。ただ、そうはいっても借金の返済が難しいのでそうせざるを得ない、と思う人もいます。
ですが、任意整理や個人再生の債務整理なら確実に家を残す事が出来ます。その代わり自己破産のようにすべての借金が帳消しになるわけではありません。任意整理は債権者との話し合いにより利息をゼロにしたり減額できますので毎月の返済が少しだけ楽になります。個人再生は借金を減額することで返済を楽にすることができます。
ただし、家を残すには住宅ローンは対象から外す必要があるので、住宅ローンの返済が苦しい方はこれらの方法は向きません。

まとめ

借金は何とかしたいが、家だけは手放したくない、そう思う方は少なくないでしょう。そして家さえ没収されなければ、債務整理したことが周囲にばれることもないでしょうし、家族にすら内緒で手続きできるかもしれません。
自己破産すれば確実に家は没収されます。ただ、没収されるとしてもやり方次第では自己破産はせずに済む可能性はあります。自己破産しなければ、すぐに新たに家を購入することもできます。また借金の状況によっては自己破産せずに済む方法もあります。
そのためには、まず弁護士や司法書士などの専門家に自分の今の状況を確認してもらい、家を残す方法、自己破産せずに済む方法を検討してみるのが良いでしょう。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*