「借金返済で苦しいけど自己破産するべきだろうか」と悩んでいる人もいるでしょう。実際に、どれくらい借金がふくらんだら自己破産を考えるべきなのでしょうか。実は、単に借金の金額だけを見て決められることではないのです。本人の月収・ライフスタイル・資産の有無など、総合的に判断して3年程度で完済できるかできないかがひとつの目安となります。300万円の借金で自己破産をする必要がある人もいれば、任意整理や個人再生を選ぶべき人もいるのです。
自己破産を検討する目安
借金返済のめどが立たなくなったとき、自己破産をすれば帳消しにできるので楽です。しかし、むやみに手続きをするのはおすすめしません。自己破産には、デメリットも多いからです。それでは、自己破産を実際に検討する目安やタイミングはいつなのでしょうか。自分が抱えている負債や状況と比較して、手続きをするかどうかの参考にしてください。
まずは、今自分が抱えている借金すべて洗い出してみましょう。返済総額を把握することは、自己破産を検討するためにも重要なステップです。次に、分割払いで返済していくとして36回程度(3年程度)で可能かどうかを検討しましょう。
定期的な収入がある・売却可能な資産があるなどの場合は、自己破産をしなくても生活をきちんと管理することでやっていける例が多くあります。反対に、定期的な収入がない・定期的な収入があっても最低限の生活で精いっぱい・売却可能な資産がないなどの場合は、返済が難しいでしょう。
また、親類や知人などで援助をしてもらえるかどうかも確認してください。プライドを捨てて頭を下げることができれば、当座の資金を貸してくれることもあるでしょう。もちろん、借りたお金は返さなくてはいけませんが、自己破産しなくて済むのは大きなメリットです。どう考えても、現在の借金を返済する見通しが立たないというのなら、自己破産を検討することになります。
支払い不能の状態の具体例
現在300万円の借金で頭を抱えているとしましょう。このとき、300万円という金額が人によって重みが違うことを理解することです。たとえば、月収が100万円の人と20万円の人ではどうでしょうか。そのほかの条件が同じならば、月収が100万円ある人のほうが返済は楽ですよね。一般的には月収100万円あれば、毎月の返済計画により十分に完済できるとみなすことができるでしょう。このまま働き続ければ、今後の収入の中から返済に充てればいいからです。
しかし、単に月収が多いだけでは判断できない場合もあります。たとえば、月収が25万円のひとり暮らしと月収40万の所帯持ちでは、生活に必要なお金が随分違います。ひとり暮らしならば自分ひとりの生活を考えればいいのですが、家族が増えれば人数分の食費もかかりますし、子どもがいれば教育費も負担になります。また、医療費の金額もバカになりません。月収が多くても、実際にはゆとりがない例もあるのです。
このほかにも、土地や家屋・車など売却可能な資産の有無も影響します。収入が低くても、資産を売却することによって返済が可能な例もあります。このように、支払い不能の状態と判断するためには、個々の収入額だけでなく、ライフスタイルや資産など幅広い目で見る必要があるのです。300万円の借金があっても、誰にでも同じ重さであるわけではないため、個々に状況によるのです。
自己破産はデメリットが最も大きい
任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理の3種類のうち、自己破産は最もデメリットが大きいことを知っておきましょう。借金返済が免除される一方で、大きな制限を受ける場合があるのです。まずは、3種類の特徴をざっくり確認しておきましょう。
・任意整理:借金の大幅減額は難しいが、今後の利息が免除される・分割返済などの措置ができ、家や車の売却は不要で引っ越しや職業制限の心配がない
・個人再生:借金がゼロにはならないが減額でき、家や車の売却は不要で引っ越しや職業制限の心配がない
・自己破産:借金をゼロにできるが家や車などの資産の売却が必要で引っ越しや職業の制限がある
いずれの場合でも、いわゆるブラックリストに載るため、新たなクレジットカードの作成や借金の申し込みは実質できなくなります。加えて、個人再生や自己破産は官報に載るので、見る人が見れば分かってしまうというリスクも伴います。債務整理という性質上、避けることができないデメリットだと認識しておきましょう。
たしかに、自己破産には例外はあるにしろ借金がゼロにできるという大きなメリットがあります。どんな手段を考えても返済が無理だと判断したのなら、自己破産を選んでください。しかし、自己破産をすると引っ越しができない・特定の職業に就けないなどの制限がかかります。任意整理や個人再生といった方法で対応できる場合も多いので、弁護士などの専門家によく相談してみてください。
任意整理のほうがよい場合
自己破産ではなく、任意整理のほうがよい場合があります。任意整理とは、債権者との交渉で返済額や利息・支払い方法(分割払いなど)を交渉することで、借金を完済しやすくする方法です。裁判所を介することなく、弁護士などの法律家に相談して手続きを進められるのがメリットです。
借金総額が200万円程度で、かつ、定期的な収入があって返済見込みが立つ場合などは、自己破産よりも任意整理を検討しましょう。借金の減額効果は大きくないとしても、裁判所を介することがないという気楽さと手続きの簡易さがあります。
また、個人再生や自己破産と違い、任意整理では官報に載ることがありません。そのため、闇金などから連絡が来る可能性が低いというのもメリットでしょう。官報に載ることで必ずしも闇金から連絡が来るとは限りませんが、めんどうなことは避けたほうがいいに決まっています。自己破産を考えているにしても、まずは、任意整理が可能かどうかを検討してみることをおすすめします。
個人再生のほうがよい場合
個人再生のほうがよい場合についてお話しましょう。個人再生とは借金を総額の5分の1程度まで減額してもらえる方法です。借金がゼロになるわけではないので、減額してもらった後に残った分については必ず返済しなければなりません。しかし、返済能力が十分にあるのなら、個人再生のほうがおすすめです。
個人再生では、資産を手放すことなく返済ができるのが大きなメリットです。たとえば、マイホームがあっても売却せずに借金の減額ができるのです。特に、家族がいる人にとって個人再生は救いの一手となるでしょう。今のままでは借金を返しきれないけど、マイホームを失って家族に路頭に迷わせたくないというのなら、個人再生を検討してください。
なお、マイホームのための住宅ローンについては減額されません。個人再生後であっても、変わらずに返済義務が残るので注意してください。また、個人再生を適用するためには、住宅ローンを除く借金が5,000万円以下・継続的に安定した収入があるなどの条件をクリアする必要があります。また、手続きが複雑かつ費用がかかるのというデメリットもあることを理解しておきましょう。
まとめ
自己破産を検討する目安としては、おおよそ36回程度(3年程度)で返済可能かどうかで考えてください。たとえば、収入や資産があり生活を立て直しながらの返済が可能ならば、自己破産を選ばないほうがいいケースも多くあります。自己破産には多くのデメリットがあります。簡単に借金を帳消しできるとはいえ、基本的には家も車も手放す必要があります。同じ債務整理でも、任意整理や個人再生がおすすめの場合もあります。まずは、信頼できる弁護士などの法律家に相談してみるといいでしょう。